2020/07/03

奇跡

7月1日
レッスン後の夜遅くの出来事。

せっかく家に帰る計画を立てていたのに、
残念ながら叶わなかったので
せめて病院でできる限り楽しいことをと思い、

もう声も出ない、しゃべれない父に、
大好きなイカをグリルで焼いてその内臓を取り出し、
日本酒で割ってちびりちびりと舐める、
これをかなり長いこと繰り返し、
元は3回位口に含ませたら(といってもとても少しの量ですが)
食道が詰まってしまったら困ると迷っていたら
主治医の先生方が丁度来てくださり、
「呑平ですね笑。
どうぞどうぞ食べたいときには思う存分食べさせてあげてください。」
といろいろお話をしながら、
先生方のお許しをいただいたので、また安心して
イカの内臓と日本酒をちびりちびりと舐めさせて、
結局いつの間にか小さなグラスに1センチ位
お酒を舐めることができました!
奇跡です!

ほとんど目をつぶっているけれど、
棒にスポンジが付いているようなあれは何と言うのか、

そのスポンジにおいしいエキスを含ませてちゅうちゅう吸うのに
美味しくて何回もおかわりする父が
微笑んでいて、とても嬉しい。

「おいしい?」
と、聞くと、
「うん。」と、目をつぶりながら、幸せそうに頷く。

「明日もイカを焼いておいしいもの持ってくるからね。」
と、父と約束したのでした。

一生懸命食べて、生きようとしている父を見て
私も生きる勇気が湧いてくるのでした。


明日はもっとおいしいもの食べさせてあげよう。

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